表現方法を分かりやすく意識させる

言語行為として「話す」、「書く」を捉え直す

学習者の言語パフォーマンス(言語活動)の質が向上する最も重要なポイントは、学習者自身が今、何をやっているのかということをはっきりと理解してことばを使うようにすることにある。

つまり、学習者が何を考えながら話しているか、その意識自体を耕していかなければならないのである。

こう考えると、教師自身もそういった地図を持たない。「自分は今、話している」といった意識でいくら経験を重ねても、話すのは上手くならない。そこで以下の図のように言語行為として表現行為を目的とか対象とかに応じて細分化してみた。

 

 

 このように目的や相手との関係から、表現することを行為として捉え直してみると、結構学習者が話したり書いたりする際に意識的になって欲しいと思うレベルの「語彙」として抽出することができた。

 その上、例えば、表現上の工夫で表現内容と密接に関係している高次のものは、こういった枠組みの中に収納されるものであると考えている。

 

 つまり、「例を挙げる」ことは、「例を挙げて説明する」なのであり、「例を挙げて相談したり、依頼したりはしない」。まあ、報告するときや主張するときなども必要な工夫なので、複数の箱の中に収納される工夫もあるが、やはりただぼんやりと「話す」とか「書く」といった意識ではなく、「自分は今、こういうことを誰々に説明している」という意識を持ちながら話す方がより効果的に話ができることはいうまでもない。

つまり、

 何となく話をしている  → クラスのみんなに環境問題について説明している

と、意識レベルで変化するためにはどのような学習が必要なのだろうか?

 実は、言語パフォーマンスを行う際の意識を変容させるためには継続的な指導が必要となる。それゆえに学習する意識は「ことば」にしてはっきりと示す必要がある。だから、上の表などは、小学校や中学校の教室に掲示してもらうことが多い。

 全ての教科の、いや学校生活全てにおいて、表現する機会に、表を頼りにして、「自分はいったい何をしているのか」ということに対して意識を向けてもらうことが必要だと考えるからである。

 実際には、先生方もこういった言語行為として表現活動を意識していないので、毎日いろいろな教科の学習の中で表現させる機会がありながらも、こういった意識や工夫を身につけさせていない。

 そこでまずは先生方の授業での指示や発問の語彙として意識してもらうことからはじめる。

学習者に対する指示のことばが詳細になる。
具体的に学習者に何をさせるのかを明確にした学習場面を作成できる。
学習者や保護者と目標の共有が図りやすくなる。
学習者の言葉の使い方を評価しやすくなる。
学習者が生活の中で身につけている言語行為を把握することができる。

 

 

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