(フランス語「dent de lion」「ライオンの歯」)
―― 野に咲く花 元気 明るさ たび 占い 運命
たんぽぽは、春先から道端などよく見かける花であり、草である。野に咲く花の代表のような感じだ。このごろは、夏にも秋にも花を見かけるようで、ほんとうに春の花なのとおもってしまうこともある。 牧野富太郎『牧野新日本植物図鑑』によると、たんぽぽは〔きく科〕の多年草で、葉を食用とし、根は健胃剤に用いているとある。日本名の「タンポポ」の語源については、「おそらくタンポ穂の意で、球形の果実穂からタンポ(布で綿をくるんで丸めたもの。拓本などに使う)を想像したものであろう」と推測している。同書には、「たんぽぽ(あずまたんぽぽ、かんとうたんぽぽ)」「しらばなたんぽぽ」「かんさいたんぽぽ」「せいようたんぽぽ」「やなぎたんぽぽ」などがとりあげられ、「せいようたんぽぽ」は、「総包の内片が直立し、外片は反曲する」点に日本産のものと大きな違いがあると説明されている。 たんぽぽの世界にも、関東と関西の違いがあり、日本と西洋の対立があることは、興味深いことだ。
「たねのたび」(大阪書籍一下) ――たびをする種
「たんぽぽのちえ」(光村二上) ――仲間をふやす知恵
「たんぽぽ」(東京書籍二上) ――たんぽぽの根の長さや花の数
「たんぽぽ」(詩・学校図書二上) ――ひとつひとつの種に名前
•たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ ――坪内稔典
•蒲公英やローンテニスの線の外 ――正岡子規
•たんぽぽとうたたねしてるパパとママ ――学生
•たんぽぽの種はどこかへ行く途中 ――児童(『現代子ども俳句歳時記
•とどまりてたんぽぽに聴く恋心 ――自作
ふっーと息を吹きかけて、絮(わた毛)を飛ばすことが大好きだ。シャボン玉のようにどこに飛んでいくかにはあまり関心がなく、ただただ勢いよく息を吹きかける。 金子兜太監修『新版子ども俳句歳時記』によると、イギリスの子どもたちは絮毛をとばして運命を占う遊びをしているらしい。花ことばは「田舎の託宣」、花が終わった姿が鼓に似ていることから、その名は、子どもによる命名とも紹介されている。