No.38 ハビトスと学習動機
学習動機が高いと学習効果も高いという相関性はあるようで、現実的にはそうでない場合もある。
すごくまじめに授業に参加し取り組んでいるのに、テストをすると良くできないという学習者が実際にいる。
こういった授業に積極的に参加する学習者は教師としてはありがたい存在なのだが、一方で頭を悩ませる存在でもある。
要するに、自分の授業を一生懸命受けているのに学習効果が低い学習者がいるということは、自分の授業が学習効果を引き出せない授業であることを証明しているようなものなのだから・・・。
「ハビトゥス」とは社会学者、ブルデューの指摘した概念で、制度やきまり、権威に対してポジティヴに反応していく傾向を有した学習者のことを指している。
氏の研究の流れからいえば、学校というのは文化的再生産の装置であって、ホワイトカラー家の子どもはホワイトカラーになる割合が高いのだけれどもなんでかという理由の一つがこの傾向を有しているかどうかということになる。
つまり、高い学校教育を受けた家庭の子どもは、先生や学校でやっていることに対して、判断できない時期から自然とポジティブに反応する傾向が強い。これに対して、低い学校教育を受けた家庭の子どもはネガティブに反応する傾向が強い。
そういえば、小学校の低学年の子どもなどでも、やっていることはよく分かってないのに、めちゃくちゃまじめに聞いている子がいるのをみると、ハビトゥスがあるんだなあと思うことがある。
長い目で見れば、どうなのか分からないけれど、学習の基礎段階では学習の目的や意味なんかは分からないでもとにかくまじめに取り組むことが学習効果をある程度保障するから、やっぱりハビトゥスを持っている子供は有利なんだろうなあと思う。
しかしながら、これが成長とともに形式化していて、とにかく学校や先生にはいい子でいる方が暮らしやすいといった動機を生むのではないか、と考えると問題が出てくる。
学習内容自体におもしろさを感じたり、面白くなさを感じたりできる学習者は、学習を自律的主体的に進めていると思うが、そうでない、やらなければ行けないからやっているだけの学習者が相当数いるのは確かだ。こういう現状を考えるとき、やはり丁寧に動機付けして学習に導いていくことが重要になってくる。それが学習との自律的主体的な関係を取り結ぶことのできる学習者を育てていることになるのだから。
また、学習内容に対してどう感じているのかを、自由に表現できる環境づくりという点も非常に重要であると言える。
習熟度別授業
参考図書
「習熟度別・少人数授業」導入と運営の秘訣 小学校国語―意欲と学力を高める
土上智子 出版社: 学事出版 (2005/03)
綾部市立中筋小学校 出版社: 明治図書出版 (2005/09)
明石要一 出版社: 明治図書出版 (2003/11)