No.3 習熟度別クラス
中学生の時、毎週テストをして、その結果でクラスを変更した経験がある。ああこれが習熟度別クラス編成の極みか、と最近思う。毎週変わるというのもどうだかと思うんだけど、それくらい当時は受験戦争が激しかったんだな。
習熟度別クラス編成も、当時は選抜クラスなんかを作って、受験戦争に参加する子どもたちの訓練を激化していたような節があるんだけれど、最近はちょっと違う考え方も出てきた。
相変わらず受験のためにやっている学校も少なくないけど、大手を振ってそんなことを答えてもあんまりいい印象は得られないし、第一教育を学んだ人の言うことではないかもしれない。
学習の速度とカリキュラムの自由化の問題に還元して考えるのがベスト。
つまり、よくできる子、出来ない子似合わせた授業が出来るという利点は、教師よりも、学習者のためにいいことだ。一斉授業で平均的に分散されているクラスだと、どこかのレベルに合わせて授業をするしかないので、上を勝手にさせるか、下を見捨てるかという選択を迫られる。もちろん補習もするし、発展的な学習も計画するけど、実際には限界がある。
特に力の低い子の対策としてTTをしてみたりするけれど、なんか疎外感を感じさせる結果を生みやすいように思う。
そこで、学力を診断し、学習の速度の類似する学習者でクラスを編成することでより多くの学習者に焦点の当たった授業を実現することが可能になる。これが最大の利点。
問題なのは、そのクラス間の行き来をどういった原理で行うかということ。期日を決めてテストを繰り返し編成を変える方法、つまり競争原理を取り入れるやり方と、学習内容を明示して、このクラスでは、『源氏物語を読む』、このクラスでは『徒然草を読む』、このクラスでは『古典文法の基礎をします』みたいな形で、学習者が自分の学力を鑑みて、クラスを選択するやり方とがある。
学校によっては、カリキュラムの自由化、つまり選択制と習熟度別クラス編成をうまく組み合わせて、学習者の劣等感を感じさせないようにしている。
競争ってそんなにいかんのやろうか?
習熟度別クラスを編成することが、学習者に自分にあった内容を適した速度で学習することを可能にするシステムだと考えると、小学校なんかでもおおいに取り入れていいことなんだろうと思う。しかし、学級集団づくりとかそういった側面からは、難点も多い。自分が所属するクラスが複数あるということは小学校の学習者にとっては、集団の組成が難しいからだ。
算数だけ、習熟度別クラスにしている学校に指導に入っているけど、算数の先生自身がクラスづくりの難しさに直面していたりするから、あんまり早い時期から取り入れるのも問題があるように思う。
習熟度別授業
参考図書
「習熟度別・少人数授業」導入と運営の秘訣 小学校国語―意欲と学力を高める
土上智子 出版社: 学事出版 (2005/03)
綾部市立中筋小学校 出版社: 明治図書出版 (2005/09)
明石要一 出版社: 明治図書出版 (2003/11)