No.19 授業のオープンエンド化

 授業のオープンエンド化について話題になることが多い。過去に「主体的学習」として提案されたものに少し似ているような気がするが、クローズエンドな授業が多い中で斬新な感覚で受け止めている。

 この、「オープンエンドの授業」とは、実践レベルでいえば、社会科、生活科、算数・数学科などの授業実践が積み重ねられている。
 社会科のオープンエンド化を進めている、広大の片上宗二氏の定義によると、

形態的にいえば、授業を開いて終われるようにする
内容的にいうと、授業の終了時点で、子どもの学習意欲が持続発展しうるように、また彼らの知識が成長しうるように

する授業のことである。
 基本的には課題解決型の授業がどの教科でも多い中で、最後に課題をもたせて終わる方法は、斬新に見える。 学校と生活とを結びつけ、実際の生活の中に学んだことを生かす、視点や方法も含めて生かしていくことが求められる中で効果的な授業の方法だと感じる。

 だけど、実際にやってみるとなかなか難しい面もあり、最初導入で課題をもたせずに入っていくことも慣れていないと違和感を感じてしまう。授業の流れを課題の解決におけないことも慣れない内は難しく感じてしまう。
 でも、これも考えようで、課題の深化や広がりのプロセスを学習過程としてみれば授業もスムーズな流れを維持することができる。

授業の流れが一つの収束点に向かっていくこと、授業の流れが拡散していくこと、この二つは相反する方向性ではあるが、様々な授業の形態を組み合わせながら、授業を続けていくためには、拡散的な授業過程を設定することができるようになるというのも重要なことだと考えられる。教科書を作成していて時々願うのは、多くの優れた教師の観察眼によって、学習者に適した学習が組織されて欲しいということである。
 
 教材と学習内容との関係は、限りなく等しい関係の教科もあるし、そうでない教科もある。私が専門にしている国語科などは、教材から学習内容を抽出することが特に難しい教科だといって過言ではない。


習熟度別授業

習熟度別指導の何が問題か (岩波ブックレット)

  • 著者:佐藤学
  • 出版社: 岩波書店 (2004/1/7)
  • ISBN-10: 4000093126

 

習熟度別授業で学力は育つか (未来への学力と日本の教育)

著者:梅原利夫

  • 出版社: 明石書店 (2005/8/5)
  • ISBN-10: 4750321664

 

参考図書

「習熟度別・少人数授業」導入と運営の秘訣 小学校国語―意欲と学力を高める  

                              土上智子    出版社: 学事出版 (2005/03)

                             

習熟度別授業でほんものの算数の学力をつける  

                          綾部市立中筋小学校  出版社: 明治図書出版 (2005/09) 

         

習熟度別授業は学力を高める (学級教育の改革シリーズ)

                             明石要一   出版社: 明治図書出版 (2003/11)

 



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