この詩のダイナミックな認識は結構アイロニーを含んでいる。地球の乗っかる船などという発想はあまり目にするものではないので学習者もそこには食いつくだろうが、そのダイナミックな認識は、前提として現代社会のすったもんだが非常に矮小な次元の出来事であるという後半の記述と対応している。この二つを対応させて捉えるが故に、この詩のアイロニカルな内容が見えてくるのである。 また、出だしの「文明諸君」という投げかけも、語句の意味からして学習者には分かるような分からないような表現である。間違いなく学習者はこういった呼ばれ方をしたことがないので、ちょっと意味を押さえておかねばなるまい。
「文明社会に生きる皆さん」にとっては、「地球の乗っかる船」等という発想は滑稽で実現できない考えである。「地球をさらう」も同様であろう。そこに詩人のおどけた姿が見え隠れするのだが、そういった突拍子もない投げかけも、現代社会のすったもんだから見れば割とまともなことに見えてくると読ませてもいいし、そういった滑稽な事を言わざるを得ないほど現代社会が深刻な状況にあり詩人はそれを非常に嘆いていると読ませてもよいだろう。いずれにせよ、単純な読みとりではこの詩の本質に迫ることはできない。表現の相関性や語句の意味の内包性に目を向けさせる必要がある。