教材について

 五年生になると、調べ学習も話題から入っていくのではなくて、もう少し内容を吟味して具体的な目的を持って行わせたい。そうした場合にこの教材はよいモデルになる教材だと思う。  テレビ番組は、取材においても、構成においても目的に応じて集めた情報を選択し再構成する流れがある。そういった流れは微妙なポイントなのでこういった教材の中では少しぼかしたりするのだけれども、話題が災害関係なのでそういったこともストレートに表現されているのがよい。  内容面の理解においてもそろそろ働く人の姿に触れ、その思いや苦労などを知ることで職業教育の初めの一歩になることも考えられるので、調べ学習のモデルとして扱ったり、情報収集や情報操作のモデルとした扱ったりすることに加えて教材自体にもしっかりと向き合わせて考えさせておきたい。

ものに向き合う学習と人に向き合う学習

 この教材で扱われている内容で、特に注目したいのが人から聞いて情報を集めるという点が述べられているところだ。調べ学習と言えば主に書籍に頼ってきた学習者にも、人から聞いて情報を集めることの重要さが実感できる。インタビューの方法などの学習や実際にインタビューを行わせる学習と組み合わせることで、人から学ぶことの重要さに気が付くこともあるだろう。

限られた範囲で表現すること

 テレビ番組の原稿などの写真も載せられているが、やはり発表用の資料を作成する際に時間の枠を意識して作成させる学習を入れておきたい。無制限に表現する機会を与えると内容の精選が行われないために発表内容にまとまりがなくなり質が低下する傾向が強い。  だらだらと調べたことを発表させるのは五年生の学習としてはどうかとも思うので、時間を制限することで調べた内容を精選させる学習を導いておきたい。

視覚的資料の作成と利用

 ビデオやカメラがデジタル化して扱いやすくなったので、調べ学習を行う際に、学習者にデジカメやビデオを持たせている学級も少なくないだろう。扱い方になれると、撮ってきた写真や映像の善し悪しを吟味するゆとりも生まれるし、他の学習者のものを吟味したりすることもできるようになってくる。デジカメなどは各班に持たせられるくらいは用意しておきたいものだ。  

 さて国語の学習として重要なのはここではなくて、やはり集めた視覚的資料を文字や声と組み合わせて以下に効果的な表現が作り出せるかと言うことにある。つまり視覚的資料をきちんと使わせることが求められるのである。だから写真だけとか映像だけの発表では国語の学習とはならないのである。  

 そこで、説明の方法として視覚資料を使わせる際の評価の観点としては、  

  1. 伝えたいことを効果的に伝えるために使われているか。  
  2. 補足の説明や解説との関係はどうか  
  3. 必要なところに視覚的資料が入れられているか  
  4. 文字や声と視覚的資料のバランスはよいか

 などがかんがえられるが、いずれにせよ取材段階からこういった構成段階で必要となる観点に対する意識を持たせて取材にいかせる必要があるだろう。