教材について

 生物界のつながりを食物連鎖ではなくて、共存の観点から説明した文章である。サクラソウもトラマルハナバチも学習者にとってはなじみの浅い生物なのだろうが簡潔に花とハチの関係から類推して捉えることができる。文章の展開はサクラソウ、トラマルハナバチ、ネズミと転化していく軽快さが印象的だ。サクラソウだけ植えても種が実らないのはなぜかというといを解決する課題解決型の文章展開のラインも明確なので、主張から帰って文章を位置づける学習もできるし最初から課題を解決するラインに沿って整理していく読みの学習も構想できる。

関係認識のために

 こういった説明的文章教材を読み解くためには、そこに述べられちる関係をきちんと捉えなければならない。この教材ではサクラソウとトラマルハナバチとネズミという三者の関係なので比較的捉えやすい。こういった簡単な関係認識から図式化して捉える学習を入れていくとよい。  

 文章で書かれている関係を文章のまま理解するのではなく、図式化して捉えることで視覚的な理解を得ることもでき文章が苦手な学習者にも役立ててもらえるし、複雑な関係を説明している文章を読み解くためにはどうしても必要な方法なので中学への準備としてこのあたりから練習しておくとよい。  

 結局教師が板書する図を学習者が文章を読みながら作成していく学習に切り替えるだけなので、プリント学習にしてしまうのも手だと思う。  

トラマルハナバチの生殖システム

 トラマルハナバチの生殖システムは教科書に載せられている図を参考にしながら文章を読んでいかないと非常にわかりにくい。非連続テキストを文章理解に生かしながら読むことを意識することができる。春、夏、秋と展開するトラマルハナバチの生殖システムをきちんと整理しておくことで、サクラソウとの関係だけではなく他の花との関係も必要であり、他の花がなければトラマルハナバチが生きていけないのでサクラソウも咲かないという連鎖する関係の理解に導いていかなければならない。

調べ学習をフルに活用して

 この教材を読み終えた学習者は更に多くの疑問を持つことになる。他にこういったつながりはないだろうかとか、この情報は本当に正しい情報なのかとか、実際にサクラソウを育てている人はこういったことを知らないのかという疑問である。こういう疑問がまず持てるように意識を育ててやるのが高学年の学習だろう。これからいろんなことを学んでいく彼らにとって、学習後にこういった疑問をもち、自分で調べ学習が展開できるだけの力を身につければ、多くの学習内容が広がりと深まりを持って身に付いていくこととなる。