教材について

 草野心平の詩は擬態語や擬音語に特徴がある。この詩の「ケルルンクック」も前後の文脈から蛙の鳴き声のように捉えることはできるが、その表現は非常に特徴的だ。  

 それゆえに音読することで独特の響きを確かめたのしむ学習の構想が求められる。何かしら音読すると元気が出る学習者も多い。それゆえに、内容の理解よりも先に音読させる学習で詩と出会わせたい。

題名読みか題名探しか

 他の詩教材と違って、この詩には前書きがある。これがあると作品の理解が確かに深まるし、音読していてもイメージが広がる。しかしあえて、題も前書きも抜いた形でプリントをつくり、音読したり、イメージを広げたりしながら、この詩の意味や場面などを推論させる学習で内容の理解を得ようと思う。  

 詩そのものから題名を導き出すことは四年生にもできる。「○○のうた」という誘いで「○○」に何が入るかという問いかけでもいいだろう。まぶしかったり、うれしかったりする主体の推論は後に回しても、水や風の様子、詩全体から受けるリズム、いぬのふぐりがさいている等の記述から「春」という季節を導くことができるだろう。そうすると春に「まぶしさ」をかんじたり「よろこびを感じたりする」ものとしてかえるへと導くこともできる。初発の問は食いつきやすい「ケルルンクック」という表現の意味を投げておくかもしれない。

音読を相互に聞き合う学習

 そろそろ音読を相互に聞き合って、相互評価する学習を入れておきたい。観点はリズムやイメージを持って読めているか、体を動かしたり表情を作らせたりして効果的に音読する工夫に観点を置いてもいい。重要なのは、友達の音読を観点を持って「聞く」学習を行うことにある。  

 それと合わせて、これくらい短い詩なのだから暗唱させ、録音し、自分の音読自体も聞いてみる機会を設けるとよい。 いずれにせよ、音読するときに意識を向けたり、気をつけたりすることとして、聞くときの観点が表現に生かされていくようになれば、音読の学習が学習者の中で積み重なっていくようになる。  

イメージの形成

 詩を読んで分かったという到達点は、やはり詩に表現されている世界がイメージとして確かなものとなる点にある。高学年になると読み教材なども因果関係の理解へと焦点が映ってくるので、四年生でこれまでの理解の仕方を一段落させておく必要があるだろう。 そこでこの教材などで、学習者が文章に向き合ってイメージを形成することで理解する方法をどの程度学習できているかをチェックしておく。 そこで、詩に描かれている世界を絵にして表現させる学習を置く。 この詩だけだとつまらないので、この詩の絵画化はみんなでやって、自分の好きな詩を選ばせるか、絵になるような詩をいくつか選んで提示するかして表現をしっかりと追いながら視覚的なイメージを形成することができるかどうかを観察する。  または、詩画集を提示して、詩と絵とを組み合わせて表現させるような活動に行くかもしれないが、それは時間との相談になる。