教材について

  調べ学習の初めとしては、適切な教材だと思う。調べたことをまとめていくための観点が重要であることを教材の読解によって導き出しておけば、話題はそのままでも調べ学習に展開できる。  食品の原料が様々な形で私たちの食生活に役立てられていることを軸にした調べ学習だと学習者それぞれに広がりのある内容を押さえられるので、その後のまとめ方も、発表会の形式にするのもいいし、食物図鑑を作ろうという「書く」「まとめる」学習へと展開することもできる。いずれにせよしっかりと調べるためのポイントやまとめるためのポイントを教材からモデル学習として学んでおけば、スムーズに言語活動へと誘える教材である。

調べる際の観点の成立

  話題だけ提示して、たくさん情報を調べ学習で収集させ、それを眺めながら観点を抽出させる帰納的な方法の学習も必要であるが、今回は読解学習との関係から演繹的な方法を採ることとする。 教材の読解では原料である大豆をどのように食品化するかという加工方法を観点として読みとりを進める。  

  1.  そのまま・・・調理方法の工夫  
  2.  ひく・・・・・粉にして食品化する  
  3.  しぼる・・・・大豆に含まれる栄養分の抽出  
  4.  加える・・・・微生物を加えて発酵させる  
  5.  手を入れる・・取り入れの時期や育て方の工夫

などいささか観点に一貫性を欠くが、できあがった食品の多様性を軸にして様々な食品を生み出す原料とその工夫について関係づけて整理することで教材の読みとりは可能である。  こういう学習を布石として、調べるための観点をあらかじめ作らせ、見通しを持った調べ学習を構想することができる。その際には教科書にも提示されているようにノートやプリントに図式化させてまとめさせると、視覚的な理解も得られて尚よいと思う。

大豆について

 調べ学習を経ると学習者自身も実感することではあるが、大豆ほど様々な食品に利用されている原料は実は少ない。その理由が本文にも述べられているのだが、その点をしっかりと押さえさせ、調べ学習をまとめて文章を書かせる際の冒頭部分と締めくくりの部分がきちんと表現できるように意識を向けさせておきたい。 つまりこういったバリエーションが生み出される理由を原料の特徴から意味づけて説明する部分が入るかどうかが、最終的に学習者の教材理解の深さを捉える観点となるからである。ゆえに、そういった理由が導き出せない原料を選ぶ学習者も出てくるのであらかじめそこを観点として調べていく原料を選択させておかなければならない。

あえて文章化する

 調べ学習をした後どのようにまとめさせるかという点については、やはり文章を書かせることにする方がよい。なぜなら、上で指摘したように、たくさんの食品が加工されています、で終わらせるわけには行かないからである。バリエーションが生み出される根拠を原料の特徴から説明するためにはやはり文章で書かせた方がよいと思う。  

 教材を文章のモデルに使うと、冒頭部分の入りはそれほどこういった形ではいることの必然性を感じないのだが、やはりまとめ方はモデルとして使えるように思う。  

 図鑑などを調べさせるのだから視覚資料をふんだんに使わせた発表会にしても良さそうなものだが、そうする場合は個人ではなく班学習にして必ず誰かに文章を書かせ、それを班全員で吟味させることを求めるだろう。 書く力に開きのある学級ではプリントを作成して文章を感性点にまで導く工夫も施す。