教材について

  1. 物語のストーリーの展開を捉え、話のおもしろさを読み取る。
  2. 「ため息が出るほどよいながめ」など登場人物が感じた情景をイメージ化する。
  3. トルトリとおじいさんの会話を読み取り、なぜおじいさんは元気になったのかを考える。
  4. トリトルの考え方に目を向け、ものの考え方の多様性を理解する。
  5. 外国の物語を読むおもしろさを感じ、自分の読書の幅を広げる。

音読指導として

  この物語には、いくつかの歌が出てくるが、これを音読しようとするとなかなか難しい。リズムに合わせて音読することも重要だが、前半も、後半も、長いまとまりとなっていて語数も多いので続けて読むには、かなり練習しなければならないだろう。  

 ペアでの音読を学習として仕掛けて、相互に聞き合いながら、スムーズに読む練習を行わせてみたい。  また随所に内容の理解を行かして効果的に音読を行わせることのできる記述が見られるので、逐次音読の学習を仕掛けていくこともできる。  

 三年とうげの音読指導のポイントに関しては 荒木茂氏のHP に詳しい。

おじいさんの変化とトリトルの機転

 日本の民話などでも、とんちなどを用いて、人々の窮地を救う話しはいくつもあるが、この話もそういった日本の民話の形と類似している。人物の考えや発話の経緯に目を向け、話の筋を読み取る読解学習を丁寧に行いたい。  

 問題なのは、「三年きりしか生きられぬ」という歌の一部分の解釈をめぐるもので、当然、この歌を板書して、じいさんを代表する一般の人々の解釈とトリトルの解釈とを比べさせる。ここでポイントとなるのは、トリトルの解釈の独自性であり、その独自性を実感させるために、おじいさんの解釈が一般的で他の村人もそのような解釈をしているいことを押さえる点であろう。本文の記述に沿えば、前半部分の、「三年とうげをこえるときには、みんな、転ばないように、おそるおそる歩きました」という記述にさかのぼって確認する場面が必要である。

そろそろ因果関係を推論する学習を入れてみる

 記述の順番通りに話しを読み取ってきた学習者も、そろそろ三年生なので、離れた記述も関係づけて自分の理解を深めさせるように促したい。  

 「なぜ」から始まる発問をそろそろ学習者に投げかけてみたい。  そこで、おじいさんの様子の推移はこの教材の読解の軸なので、そこに合わせた発問として、「なぜおじいさんは病気になったのか」というところとそれに対応して「なぜおじいさんは元気になったのか」というところとを発問として用いる。 最初の発問は比較的近い記述から探り出せるので容易に答えられるが、次の発問は、近い記述だけでは物足りないので、トリトルの解釈などに目を向けさせながら、離れた記述とも関係を見出させ、複数の記述をまとめる形で答えを導きたい。