「くちばし」との接続

  思い出させたいのは二点で、一つは「問いー答え」の関係、「これはなんのくちばしでしょう」「これはきつつきのくちばしです」という呼応関係からさらに説明が続く構成になっている点を思い出させると、本教材でも「問い+問い」→3つの列挙された答えという文章全体の大きな呼応関係に目を向けていくことができる。
 しかしながら、問い「それぞれの自動車はどんな仕事をしていますか。そのためにどんな作りになっていますか」を誰の問いにするかは結構授業のポイントになる。子ども自身の問いに持って行く事も可能であるが、逆に誰かの問いにしておいて、子どもには答えさせる立場に立たせる方が答えるために読み進める意欲がわきやすい。

「そのために」

 「しごと」と「つくり」の関係を捉え整理することが読み取りの目標である。
「バスや乗用車」、「トラック」「クレーン車」と並列関係になっているので、読みながらプリントかノートの表の形で整理していく学習を置く。
 具体的な「つくり」と「しごと」の対応関係を理解するために意識させるのが「そのために」ということばである。この言葉によって2つが結ばれていることを読み取ることが重要である。
 「しごと」と「つくり」それぞれに色画用紙にまとめて書いて黒板に貼り、間に「そのために」マグネットを取り付けることで、意味のまとまりとつなぎの言葉の関係が目で見てわかる。「そのために」そのものの働きを説明しても子どもにはよくわからないので、目で見てわかるようにするのが良い。
 またこの形を使って、のちの言語活動の「書く学習」を導いていく。

確かめをどうするか

 じどうしゃくらべの授業を見ていると、いつも気になるのは、学習者が読み取ったことをどのように確かめるかという点に工夫が必要になる点である。この時期の子どもは、まだ自分の読み取った内容に対して自信が持てないことが多いため、絵や写真で確かめることが必要である。また、絵や写真などを使って自分の読み取ったことをほかの子どもに説明する場面なども学習としては必要である。
 しかしながら、基本的には二次元(写真か絵)が用意されている。教科書の挿絵では不十分なので教師が探してきて提示するわけだが、どうせ探すのなら三次元でやるほうが効果的だ。映像を見せる。例えば、はしご自動車のはしごが伸びて実際に消火活動をしている映像などは、立体的で動きもあり、「しごと」の動きなども捉えることができる。何より自動車の仕事っぷりに惹きつけられて、心が動くことで自分で調べて書く言語活動へと気持ちを繋げやすい。「みんなにへえーって言ってもらえる車を探してみようか」などと投げかけると、その後の言語活動も聞き手意識を活性化した状態で入ることができる。
 もう一つは、「ミニカー」。ミニカーは子供の生活の中にあり、かつ最近のものは非常に精巧にできているので触りながらつくりが確認しやすい。
「しごと」には映像を、「つくり」にはミニカーを使って三次元的に理解させることでよりリアルさが増す。