教材について
三年生の小説教材として、適度に抽象的な概念に対して思いを巡らせる教材がほしい。そう考えたとき、菊池寛の「形」は中学校三年生の外見と内実の狭間に悩む年代には適切なテーマを持った教材であると考える。文体は、漢字が多用されていることもあり、引き締まった感じを与えてくれる。音読教材としても良い教材だと思う。また、背景となる時代は戦国時代であり、冒頭に出てくる筒井順慶や松永久秀など奥深いストーリーを持った人物であるだけに、興味を抱いている生徒も少なくない。適度な短編だけにじっくりと表現にこだわりながら読みを深め、「形」と言う抽象的なテーマについてじっくりと考えさせたい。