教材について

 学級での人間関係づくりに自己紹介をさせることはよくあるが、結局話をするのが苦手な子は悪い印象を持たれてしまうのでどうしようかなあと悩むことが多い。また、いきなり対面型のコミュニケーションをとると、外見などの要素へ目が向いてしまうしため、その子の本質的な内面に触れにくくなってしまう。また、その子自身の性格や嗜好性などが表面化してしまうことも懸念される。
 そういう私も、特に自分が担任しているクラスなどでは、国語の時間だけではなく、HRの時間などでも自己紹介をさせてきた。時間的な問題もあるし、受けをねらってしまう生徒が主流を占めるとお遊びになってしまうので難しい。  
 そこで、自分が興味を持っていることや将来のことなどを文章で書かせることで、じっくりと表現する時間を持たせることはいいことだと思う。 また、自分新聞の作成の過程で、他の生徒と交流する機会を作れば、自己紹介ではなかなか行いにくいやりとりが随所で起こる可能性が高い。

情報収集力の基本

  中学校の国語の授業に限らず、学んだことや考えたいことがあったときに、自分で関連する情報を収集し、自分なりの理解を持ったり、理解を深めたりすることは重要な学習方法である。ウェブや書籍などで関連する情報を集めてまとめることは、小学校で行ってきた、自分の経験を表現したり、自分の感じたことをそのまま表現したりする事とは異なり、現実社会との接点を持ち、専門的な情報をサポートとして使いながら、自分の考えや感想をより確かな情報として表現していくことを指している。  
 まずは、情報を探すこと、そしてカードに記録して保管することから始めさせたい。カードは付箋紙を用いるのもいいが、意見交流のために用いさせるのならば、京大式のカードなど、少し堅めのカードを使わせることも必要だろう。

見出しのこと

 明らかに読み手が意識されている表現活動だけに、十分に読み手意識を持って作成させたい。しかし中学校一年生なので、自分の集めた情報と自分の考えたり感じたりしたことを組み合わせることだけでも大変だから、読み手を引きつける文章を書こうと言ってもなかなか書けない。こういった観点はよくできる生徒に発展的な目標として与えてやり、一方でベースとなる目標を、効果的な見出しづくりにおいた学習活動を展開することを構想したい。  
 読み手が読みたくなるような見出しを作ろうと言った具体的な目標を与え、実際に新聞や雑誌など見出しによって読者を引きつけているものをモデルにした学習をあらかじめおいておくのも一つの工夫であろう。  また相互交流の際の観点も、文章そのものに向き合いにくい生徒などでも、見出しの効果については簡単に向き合えるので、学期当初の単元でもあることから、なるべく多くの学習者に参加できる状況にセッティングしたい。

先生も巻き込む

 自己紹介のような活動だと参加しやすい先生も、こういった表現活動だと学習者にやらせただけで自分はあまり参加しないのが常だ。年度当初は忙しいのでなかなか参加しにくい状況はあるが、一つがんばってモデルを示すつもりで自分新聞を作成してほしい。 その際に、モデルとなる観点としていくつかを挙げておきたい。またこの観点はこの学習の評価の観点として用いることも出来る。

①自分の考えや感じたことを勝手に書き込んでいるのではなく、正確な情報と結びつけ表現していること。
②効果的な見出しが読み手を引きつけるように工夫されていること。
③読みやすい配置が工夫されていること。
④文章だけではなく絵やグラフ、写真など非連続テキストが使用されていること。
⑤色彩に関する工夫がなされていること。
⑥文字の大きさや太さなど文字表現に対する工夫がなされていること。
⑦自分自身を十分に紹介できる新聞になっていること。

ぼくなら担任の先生にもお願いしたりします。