教材について
言葉は様々な意味に使われます。時と場合に応じて、その働きもまったく違ったものになります。この詩は、「ウソ」を様々な意味合いを込めて使い分けてみる、そうした中で、言葉を越えて人間の認識そのものの多様性に至ることを示しているように思われます。
虚構世界の中で唯一確かなものとして提示されている、身体的な実感、そのもろさや不確かな存在が、「すくう」や「そっと」といった言葉に込められているのではないでしょうか。言葉の豊かさの背後にある認識の豊かさに迫り、さらに、「真実」というか「本当」のものとは一体何であり、どういう物かということに思いを巡らせる良い機会となる教材だと思います。