教材について
読書教材として提示されているが、単に鴎外の作品や近代小説への入り口として読ませるだけに終わるにはもったいない教材だ。全体の時間配分の中で現状ではなかなか深い読解学習を構想しにくいのだが、やるとなればとことんやりたい教材である。 安楽死というテーマについては石橋忍月の文章なども合わせて読んでおきたいと思うのだが、それ以上に喜助の人物像や心情の読みとりを基盤にして、人の行き方に大きな影響を与える人の境遇なるものを考えさせたり、貧困の生活が人間にいかなる影響を及ぼすかなどといったことも考えさせてみたい。