教材について
小学校から初めて中学校に来た、初々しい学習者に向き合い、クラスを開いていく。いつもすごく幼い感じを受けるのは、中三と比べるからだろうか。それだけ中学校の三年間は学習者を大きく成長させるのだろう。私は、小学校の国語から中学校の国語へ、何がどのようにステップアップするのか、つまり、「違い」に対する意識を徐々に高める開き方にこだわる。
創造的な表現を求める本単元は、写真の世界を手がかりにしながら、自分のことばを添えることで、一つの世界を再構築する活動だ。色紙や何かにきちんと表現させることで、写真との組み合わせが、「もの」化する。
「写真にことばをそえる」という行為?
① 一つの世界を作るのだから、それなりに気のきいたことばを選ばせたい。
② 写真から受けた印象を広げたり深めたりする働きを持ったことばを添えさせたい。
③ 写真にぐっと深く向き合わせることを前提としたい。
等と考えていると、何か一つの写真を用いてこういったことをみんなで考えるような導入が必要になってくる。たぶん展開の順番としては、活動そのものを投げ出して、反省的にこの点を学習するか、先に例示してモデルを作り出し、この点を意識させて活動にはいるかのどちらかなのだろうけれど、最初の単元だし、丁寧に後者で行こうかなと考える。
導入で使う写真をどうするか
教科書に載ってある写真を使って導入をするか、迷うところ。、まず大きさが小さいので、みんなで見ながら考えると行ったときに、下を向かせてしまうから交流がしにくい。大きな写真を一緒に見ながらあれこれと指し示して考えたい。となると最初から教材探しが始まってしまう。最近はネットなどで、素人の写真でも結構いいのが手にはいるのでそれを使ってもいいんだけど、季節はせっかく春なのだから、デジカメもって教材づくりに出かけるだろう。著作権気にしなくていいし、なんやかんや加工も自分ですればいいし。 オリジナルっていうのが学習者との最初の接点である意味も大きい。
学習の展開
せっかく作ったんだから交流しなきゃ、ということで、交流をその後の展開にすると、
①多様性を感じさせるために、対象とする写真をぐっと絞り込んで、自分なりのことばを添えさせること に専念する展開。
②画像とことばの組み合わせから、自分の世界が具現化されることを体感することを重視するなら、たく さんの画像の中から、自分の好きな画像を選び、工夫した色紙や何かに作品として完成させる展開。
①の場合、交流の基準になるのは、ことばを選んだ理由と作り出した自分の世界への解説・・・これはプリントにすると思う。
②の場合、交流の基準は鑑賞し合うこと、それぞれの作品を吟味するのではなく良さを発見し合うような交流にする。
最も大切なこと
実際に写真にことばを添えてみると分かるのだが、大きく二つの添え方がある。
① 写真に写されている世界をストーリー化して捉える。
② 写真に写されている人物やものの内面をことばにしてみる。
もっと様々な添え方があるんだけど、中一だと無意識にどちらかにしてしまう。別に他の方法を教えなくてもこの二つの方法を少し意識化すると書けない子も書けるようになったりする。これは、何で大切なことなのかというと、これが他者の体験を間接的に経験して自己の経験にして吸収する際の認識の方法だからだ。そこまで言うことはしなくても石は置いておきたいと考えるから、敢えてこの点はことばにして学習者に提示する。すると、ストーリー化しやすい写真と内面を推論しやすい写真とがあることに気づく。しかしそんな意識で選んでいないかもしれないので、教科書の写真を丸々使うかどうか考え込む・・・。他の人が作った教科書で授業を考えるのはほんとやりにくいなと思う。
思いつきでことばを使わせないことが大切・・・教科書の手引きでは何に注目するかは書かれていても、どうことばを添えるかという事自体の手がかりがない。教師の重要な導きがいる。