授業を構想する際に重要な条件として、構想した授業過程や学習活動が、目の前の学習者の能力や興味等に可能な限りフィットしたものになっているか、という観点がある。 この視点を重視して学習を構想しようとするならば、授業過程の適切なポイント、ポイントで学習者に関する情報を収集し、その情報を生かした計画の練り直しが必要となる。 この情報収集こそが、評価活動なのであり、「評価といえば、成績をつけるためのテスト」とすぐに考えるのは間違っている。 実は、評価の目的は、教師として情報を利用する場合、授業改善のためとか、複数のクラスの学習効果を比べる場合とか、授業の方法の効果を吟味する場合とか、様々ある。 今は、保護者や社会から、学校の授業に対して評価される機会も必然性もふえてきたから、評価の目的はどんどん広がってきている。 「評価」、「評価」とよく言うのだけれど、そもそも「評価」とは一連のプロセスのことを指している。 @目的の設定→A方法吟味→B測定→C解釈→D情報化→E利用
いろいろな評価の名前を聞くと思うのだけれども、例えば「相対評価・絶対評価」は、上の図でいえば、解釈の方法の違いだから、正式には「相対的解釈法」「絶対的解釈法」と言われている。 評価のことについては非常に大事なことだから項を分けて詳しく説明する予定。
ただし重要なポイントは、 対象を正確に捉える為の適した方法で、利用者が利用しやすい情報化をほどこすこと。 学習者の治療的指導のために評価を行ったのに、点数や評定などで全く分からなくしてしまう先生もずいぶん減少しましたが・・・。 これから説明する三つの評価は、授業過程に即して、学習者の学習効果を高めるための様々な目的のために行われる評価です。
(導入) → (展開) → (まとめ)
@診断的評価 A形成的評価 B総括的評価
@診断的評価・・・これは学習者の興味や関心、レディネスなど、教材やこれから進められる学習に対する適応力を捉える評価です。 国語科の場合は、教材のどの部分に注目しているとか、どんな感想を持ったのかといった情報を捉え、展開時の学習を構想していくための情報源とします。
A形成的評価・・・これは、学習の進捗状況に応じて、学習者がきちんとステップを踏んで学習についてきているか。どこでつまづいているかを把握し、より多くの子どもたちの学習効果を保障するための、個人指導のあり方を決めるための情報源とします。
B総括的評価・・・単元終了時にそれぞれの学習効果を把握し、構想した学習がどのような効果をもたらしたのか、計画した指導目標がどの程度達成できたのかという点を捉え、今後の学習に生かしていくための情報源とします。
これがテストなどいわゆる「評価」と呼ばれてきたものです。 まあ「指導と評価の一体化」というキーワードは昨今の教育界では頻繁に用いられているから、それだけ実際の現場で改善していく必要性が高い箇所なのだと思います。ゆえに、「学習効果を高めるために、授業の随所で効果的に学習者の学習状況を把握する方法」として評価を捉えていく視点が必要です。
最近の本でいえば、梶田さんのシリーズがおもしろかったです。(品切れになっている可能性が高い)一応リンク張りますので。
梶田叡一
シリーズ 評価と指導の一体化 (教科・領域編〔1〕)
それから、最近おもしろかったのは、洋書の翻訳だけどこれ。新しい評価に触れておくと役に立つと思います。
キャロライン・V. ギップス
新しい評価を求めて―テスト教育の終焉
辰野 千寿
学習評価基本ハンドブック―指導と評価の一体化を目指して
堀 哲夫
学びの意味を育てる理科の教育評価―指導と評価を一体化した具体的方法とその実践
片岡 真幸
小学校図画工作科指導と評価一体化の授業展開
花田 修一
国語科指導と評価一体化の実際
寺崎 千秋
小学校社会科指導と評価一体化の授業展開
正田 実
数学科指導と評価一体化の実際
渋沢 文隆
社会指導と評価一体化の実際
小森 茂
小学校国語科指導と評価一体化の授業展開
池田 延行
小学校体育科指導と評価一体化の授業展開
星野 昌治
小学校理科指導と評価一体化の授業展開
伊藤 俊彦
小学校音楽科指導と評価一体化の授業展開
梶田 叡一
シリーズ 評価と指導の一体化 (研究体制編)
シリーズ 評価と指導の一体化 (評価資料編)
シリーズ 評価と指導の一体化 (教科・領域編〔1〕)
シリーズ 評価と指導の一体化 (教科・領域編〔2〕)
水越 敏行
授業と評価ジャーナル (No.6)