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OECD実施のPISA調査の結果が回数を追うごとに悪くなっていることは、一概に日本の子どもの学力が低下していることと結びつくわけではないと考えている。参加国の増加や、参加状況が国によって大きく異なる点などを踏まえると順位そのものが示しているものはあまり意味を持たないのかもしれない。 しかしながら、問題なのはその内容であり、学んだことを日常生活の中に生かすことができないにほんの子供たちの実態は公教育の信頼の低下へとつながっていくように思う。 学校で学んだことが日常生活に生きるのだという実感のようなものを学習者に感じさせることが、なにより学習の動機付けには効果的であるようにも思える。
キー・コンピテンシー詳しく読むとして示されている学校教育で身につけさせたい力の中に「自律的な学習」というものがある。これは、自分で見通しを持って学ぶことが出きる学習者の育成を目指すものであり、かつて言われていた自己学習力にもつながるものである。
自分で見通しを持って学ぶ経験を私たちはいつ頃実感してきたのだろうかと考えてみると、それはかなり後になってからのことであり、小学校の内などは、そんなことは考えもしなかったように思うのだがいかがだろうか? 自律的な学習を支えるのは、学習者自身が「何を学ぶのか」ということに加え、「なんのために学ぶのか」「どのようにして学ぶのか」といった学習そのものに対する理解を深めることであろう。
そう考えるとまず第一に教師自身が、この三つの命題に対して確かな答えを有している必要があるだろう。教科書にあるから教科書の内容をそのまま教えるなどと言うことでは、学習者を自律的な学び手に育てることは難しい。 長期的な展望にたって、教師自身が明確に学習内容を理解し、どのような順序で、どのように積み重ねていくことが効果的かという点を吟味しながら年間指導計画を作成していく必要がある。
学習内容を明らかにするためには、どのような力を身につけるかという点をことばとして捉えておく必要がある。(学習内容の言語化)これは見えやすい教科もあれば、国語科のようにことばにしにくい教科もあるだろう。 しかしながら、教科書の年間指導計画や各教科の学力論を学びつつ、目の前の学習者に適した年間指導計画を立案していく力量は教師として必要なものであろう。
国語科に限らず、教材や単元一つ一つの分析はできても、それが継続的に一学期や一年を通して、どのように積み上がっていくのかという点を明らかにしなければならないので作業としては非常に難しいし、経験的な理解も必要となる。だから、自分の学生などには、五年後の目標として自分で年間指導計画を立てられるようになって欲しいと言うことが多い。 何かを身につける、それが知識なのか技術なのか、もっと高度に複雑化した行為なのか、それによって身に付くための道筋と必要とされる時間は変わってくるものであろう。ゆえに理屈だけではなく実際に学習者に身につけさせる工夫を施した経験が必要となる。
保護者会や学級通信などで、一年間で意識的に身につけさせようと考えている様々な力を提示していくことは、保護者からの信頼を得るために必要なである以上に、学習者の学びを家庭生活の中でも看取ってもらうために必要なことであると考えている。 ターゲットとして掲げた力をどのように育成していくかという具体策を明示することができれば、家庭でも保護者の協力が得られる可能性はぐっと高まる。 学校単位で提示している学校の目標とは異なり、学年や学級、学習者個々人に応じた年間指導計画である利点はそこにある。より多くの関わり手との関わりの中で学習者が能力を身につけていく機会も増える。 年間指導計画を立案することになれてきた教師は、保護者会などでも、生活面だけではなく、学習面に関して具体的な協力を得るための話ができる。
横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校
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小学校各教科年間指導計画―教育課程編成・指導要録記入等のための参考資料 (1982年)
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