田中智志 日本実業出版社 2003
第一章 学校という世界
第二章 子ども・少年少女・若者
第三章 社会の中の教育
第四章 国家の中の教育
第五章 学ぶこと・教えること
第六章 家族の変容
第七章 近代教育学の世界
第八章 新しい教育理論
第九章 現代の教育政策・教育実践
第十章 教育学を変革する
一人でこういった事典を作成するのは結構大変だなあ・・と最初手にしたときに思いました。今、教育学を研究する立場にある人は、自らの研究成果やこれまでの研究で得られた知見をどうやって一般の人々、特に教育に携わる多くの先生方や、保護者のみなさんにわかりやすく伝えていくべきなのかということについて、頭を悩ませていることです。
本書は、そういう意味では一つの可能性を示唆してくれるものだと思います。教育学の分野を横軸にとり、過去・現在・未来の時間軸を縦軸に据え、多角的に現在の教育に関する諸現象や問題点を理論的にわかりやすく位置づけ解説してくださっているという意味で、多くの教育に関わる方々にお勧めする一書に挙げました。
基本的に読み切り一ページのコラム型で構成されている点も非常に読みやすく感じる点で、研究者のための表現ではなく一般読者のための表現形態となっています。目次の紹介を少しさせていただくと、上に示したように内容の充実したものとなっています。
教育の研究に社会学の知見が入ってきて久しくなりますが、そういった知見を大いに利用しながら、社会システムとしての教育、そのシステムの中で子供たちがどういう道筋で育っていくのか。またその育つ過程とどのように関わっていくことが重要なのかという点について非常に示唆的な考えに満ちている一冊だと思います。