三宮真智子 北大路書房 2008
第一章 メタ認知研究の背景と意義
第二章 学習におけるメタ認知と知能
第三章 知識の獲得・利用とメタ認知
第四章 学習方略とメタ認知
第五章 学習における動機付けとメタ認知
第六章 文章理解におけるメタ認知
第七章 数学的問題解決におけるメタ認知
第八章 科学的思考と科学理論の形成におけるメタ認知
第九章 談話の産出・理解におけるメタ認知
第十章 学習の障害とメタ認知
第十一章 認知行動療法とメタ認知
第十二章 メタ認知の神経科学的基礎
言葉を意識的に使うことで、質の高い言語パフォーマンスが導かれる、と考えている私としては、「メタ認知」は視点の獲得や、学習ストラテジーの体系的習得、ストラテジーの適切な使用や効果への理解など、どれも重要な知見である。
自分がどのように読んでいるのか、書いているのかということに向き合う機会を学習の中に作り出すことは、単純に自己評価や振り返りを組み込むことではない。
メタ認知する視点を獲得させ、読み書きのストラテジーを方法的知識として習得させ、使用用途や目的に応じて体系化した知識として結びつける必要がある。それ以降もいくつかの学習が組み合わされながら、ことばを効果的に使うことができるようになっていく。
本書は、「メタ認知」に関する近年の研究成果を多角的にまとめたものであり、概括的であるが内容は実に深部にまで至っている。入門書としてはやや難しい点もあるが、日々の授業の中にも生かせるエッセンスを多く含んだ一冊である。