大友賢二 監修 中村洋一著 桐原書店 2002
第一章 言語テストの基本的な考え方
第二章 言語テストの作成と実施
第三章 古典的テスト理論による言語テストデータ分析
第四章 項目応答理論における言語テストデータ分析
第五章 TDAPによる計算結果の正確さ
TOEFLがオンラインで試験を実施しているのを聞いて、早速サイトを訪れてみた。言語能力を項目に分けて、テスト問題化するとどこまでの範囲を補うことができるのだろうかという疑問がわいてきたからだ。
コンピュータベースのテスト、試験用紙ベースのテスト、オンラインでのテストの三つのカテゴリーがあることがわかり、かなり広範囲の言語能力を捉える仕組みになっている。
測定方法としてのテスト法は、国内外で批判を浴び、息も絶え絶えという感じなのだが、他にいい方法がないという理由以上に、テストでしか捉えられないこともあるだろうなあと漠然と感じているのも確かである。
何より効率がよいのと、実際には学習者に学習をさせるための動機としては効力を発揮する。敢えてその点をふまえてみると、要するに様々な測定方法の一つとしてきちんと位置づけ直さなければ、結局「新しい評価」と呼ばれる大きな流れも、実際には偏りのある評価ということになってしまう。
本書は、ウェブ上で言語能力を測るためのテストを開発しようとする方にしか薦められないが、それでも、氏の提示する「項目応答理論」はテストによって得られてデータを分析する方法としては参考になるだろう。ただしある程度の統計処理に関する知識が必要となる。