滝沢武久著 国土社 1992
序章 ピアジェ理論の現代的意義
第一章 発達の相互作用説
第二章 認識の基本概念の形成
第三章 活動から思考へ
第四章 人間関係の中での発達
第五章 発達の個人差
むすび ピアジェ理論の今後の課題
ピアジェの理論は現代の教育学研究を始め、心理学研究においても基本的な位置にある。
それだけに潜在的にしか存在を確認することが出来ない論考というのは多い。
しかしながら、ピアジェ理論の根本的な考え方を少しずつでも進めていこうとする流れが現在も続いていることを確認するには本書は適書であろう。
認知心理学を基盤に据えた研究を進めているものには少し行動主義的なにおいのするところが多く見受けられはするが、現場にいて、日々の子どもたちの変化を追っているものにはやはりうなずけるところが多い。
このズレはいったい何であろうか。それは子どもは学校での学習以上に日々の生活のなかで刺激を受けて変化している存在だから、その節名の理屈がいかに変遷しようとも、減少として子供たちの中に起きている変化は変わらないし、その変化の根本原理もあまり変わらないのではないだろうか。
古い考え方を再生して、その残りかすのようなものをさらに使おうとするものではなく、むしろ温故知新とでも言うべき、新しさを改めて感じることが出来た。
発達論はプロセスの解明に傾きすぎているきらいがある。もう少しこういった現象自体に率直に向き合う作業が必要だと感じる一冊であった。