柏木恵子 東京大学出版会 1983
序 問題の所在と関心
第一部 自己の認識の諸相とその発達
第一章 自己の存在の発見
第二章 自己についての認識の成立と展開
第三章 自己についての評価・感情・信念
第二部 自己の行動統制機能の諸相とその発達
第一章 行動における自己の働きへの関心
第二章 行動制止機能の発達
第三章 能動的・自律的行動とその発達
第三部自己と文化についての断章
第一章 自己と文化の交叉する諸相
第二章 自己の発達をとりまく文化・価値
第三章 社会の規範・価値を媒介する教育風土・育児文化
「自己」の発達が子どもの行為を捉えるための重要な観点であることはいうまでもない。特に学習者の言語活動の質、もう少しいえば、表現したり理解したりすることそのものには、表現者や理解者としての自己認識がいかなるものであるのかということが深く関係している。
クラスの中で話をしようとしない学習者や、話が苦手な学習者は、もしかすると離す自己に対して極度に自信を喪失している状態なのかも知れない。作文でも自分をあまり表現しようとしない学習者は、自己認識がネガティブなのかもしれない。
自己認識の有り様を捉えるためには、それぞれの学齢に応じた自己認識の発達を理解知る必要がある。そう考えると本書で指摘されている事柄は大変有効なものであるといえる。
学習者の活動参加状況などにしても、やはりこう言ったことが深く関係しているわけで、学習者理解の重要な観点として自己認識の発達を理解する事が考えられる。