学習の輪 アメリカの協同学習入門

               ジョンソン&ジョンソン&ホルベック 二瓶社 1998               

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目次

第一章 協同学習とは何か

第二章 協同学習に関する研究

第三章 協同学習における教師の役割

第四章 相互協力関係を作る

第五章 生徒に協働の技能を教える

第六章 教師の協同

第七章 教師のさらなる進む道

 

概要

 コミュニケーション能力を育成すること重点が置かれている現在、国語の授業をはじめとして多くの教科で話し合いを手段とした学習が展開されている。一方で国語科教育では、「話す・聞く力」や「話し合う力」の内実と発達段階、育成するための学習条件などを明らかにしようとする研究が進んでいる。  

 この研究の途上において、「話す・聞く力」と「話し合う力」の関係についてはよく話題に上る。全く等しいものや積み上げていくと到達するものと言った単純な関係ではなさそうなのだが、両者は重なり合う二つの力であることは間違いなさそうである。 問題なのは、それぞれの固有の力をどう見出すかなのである。  

 特に「話し合う力」とは、これまでに進められてきた「話す・聞く力」の育成以上に何をどうすればよいのかという点にある。本書はその問題に対して一つの明快な解答を用意している。それが正しいかどうかは疑問の余地を残してはいるが、「協同学習」を遂行するためのスキル的な要素はやっぱり存在しているように思うのである。  

 ただし、それは「話し合う力」と呼ぶもののすべてを指しているわけでもなく、国語科でも煮付けさせるべき能力以上のものを含んでいるとも言える。  

 もう一つ本書を読む価値は、取り立てて国語科で「話し合う」経験をさせたり能力を身につけさせたりする以前にもっと日常的なすべての授業を「協同的で対話的な学習形態に移行しなければならないこと」を示唆している点である。私はもう一歩進んで、「教師ー学習者」の一対一の関係の中で学ぶことが、学習者相互のコミュニケーションの質を向上させると考えているのだが、そこまでの言及はないにせよ、学習を組織するに当たって何をどのように考えていけばもっと授業において学習者がコミュニカティブに活動するかという点のヒントがたくさん含まれている。

 

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