G.シュタイナー 塚野州一他訳 2005
第一章 白衣に対する恐怖−古典的条件づけ
第二章 学習された心臓発作とは−消去の問題
第三章 だらしない子の変身−新しい習慣へのシグナル
第四章 トラブルメーカー・マイケル−オペラント条件づけと社会認知的学習
第五章 「待つこと」と「なしですますこと」の学習−衝動と行動の制御
第六章 向社会的行動の学習−社会認知的プロセスと社会価値システムの獲得
第七章 テスト不安克服の道−「脱感作法」を超えて
第八章 グループリーダーのストレス対処学習
−認知的な行動訓練と行為調節的認知の発達
第九章 中高生の学習性無力感−非随伴性と原因帰属
第十章 挿し絵入りテキスト文からの学習−メンタルモデル構築
第十一章 語彙の学習−自己制御的・適応的学習
第十二章 数えることの学習−数のネットワークの構築 ピアジェの発生的認識論を超えて
第十三章 タクシー運転手の地理概念−認知地図の構築
第十四章 マッチ棒ゲーム−ゲシュタルト理論または洞察的学習
シュタイナー氏は、スイスのバーゼル大学に勤務されている学習心理の専門家である。本書は、古典的な心理学に始まり新しい認知心理学の知見までを簡潔に説明しながら、実践現場における様々な問題に適用した場合にどのような効果があるか、また学習者への対応についてどのような考え方に基づいてすすめていけばよいのかと言うことに焦点化して書かれたものである。
それゆえに、純粋な理論書という感じはあまりないし、実験を中心とした心理学の専門書という体裁でもない。むしろ、現職の教師が日々の実践にどのように向き合っているのかということを詳述した文章に近いかもしれない。
特に、学習者の行動の背後に存在している学習者の「意識」を捉え、それに向けた対応を施すための基本的な考え方や捉え方を学ぶことができる点が教育現場に役立つ書籍として本書を薦める理由である。